月末の繁忙期に残業時間が多くなってしまい、1ヶ月単位の変形労働時間制の導入を考えているが、導入することによって、従業員の時間外手当が減ってしまう。これは不利益変更にならないか?
こういったご相談を受けることがあります。
では、実際に不利益変更に該当してしまうのでしょうか?
結論から言うと ”ただちに制度の不利益変更となるものではない” でしょう。
そもそも変形労働時間制の趣旨は、繁忙期と閑散期の調節をとりながら、その期間について労働者の生活設計を損なわない範囲で労働時間を弾力化し、上手に労働時間の配分を行うことによって総労働時間を短縮することを目的としています。
この趣旨に反する導入でない限り、不利益変更とは認められにくいでしょう。
時間外労働についても、本来会社の裁量により実行されるものであり、労働者には、時間外労働をする権利というものが存在しないことになります。
時間外労働の減少の他にも、日によって労働時間が異なるなど、労働時間が不規則となることがあるかもしれませんが、突発的な時間外労働に比べて、計画を立てやすいなどの面もあり、大きな不利益が発生するとは考えにくいということになります。